地方消滅は本当か (子供を作らなくなった日本民族) by 相原2015/03/17 21:38

地方消滅は本当か
     (子供を作らなくなった日本民族)
                              
                              相 原 孝 志

■消滅可能性都市のこと

 多くの市町村が「消滅可能性都市」となるという、本当か。2040年には全国1799の都市の内、896の市区町村が「消滅可能性都市」となるというのだ。それは人口減少によるものであり、20~39歳の若い女性の減少と大都市圏(特に東京圏)への若者の流出が原因であるという。地方都市の約半数が消滅する可能性があるというのだが、これは只事ではない。

しかも人口減少がその一因である以上、地方消滅対策は人口問題として解決できることではなくなってしまった。何故ならわが国の人口問題は短期間に解決できることではなく、人口減少は相当長期間続いていくこととなるからです。


■わが国の人口問題

 出生率約1.4で子供を作ることを忘れたわが国は、今や総人口5000万人を目指して国力を低下させていく。わが国の人口は2008年の1億2800万人をピークに人口減少過程となっており、今世紀半ばには1億人を切り、今世紀末の2100年には5000万人と現在の約40%まで減少する予想となっている。しかもこれまでの総人口の減少速度は高齢者の高寿命化によって緩和されてきたが、これからは加速されていくこととなる。

人口を維持できる出生率は2.07だが2013年の出生率は1.43と低位にあり、わが国の人口問題は簡単には解決できない問題となってしまっている。これから少子化対策が実行され出生率が高まったとしても現実に人口が増えるには時間がかかり、わが国の人口問題が解決されるのは何時のこととなるのか分からない。

またわが国の人口問題として注目すべきは、最近の日本人は子供を作らない風潮が強くなっているようで、親自身が自分を大事にしたい、人生を楽しみたい、女性は自分も仕事をしたいなどとの思いが強くなっており、未婚者が多くなっていることがこのことを示しているともいえるようだ。これからの少子化対策は中々難しく人口増加は並大抵のことではない。子供を産まない民族となってしまえば、残念だが人口回復は不可能なのではないだろうか。


■地方消滅は本当か

 地方消滅とは地方が消えてしまうことなのか、それとも自治体が無くなるということなのか。地方消滅とは何かをはっきりさせておかなければならない。若い女性が減少し、あるいは人口が大都市部へ流出することで、ある地方が存在しなくなるということなのだろうか。人口が減っても直ちにゼロになってしまうのではなく、何らの対策もなければ消滅してしまう可能性があるということではないのだろうか。地方が消えてしまう前に、行政機構が機能低下を起こす過程があるはずで、その中で地域維持のための努力がされるはずである。そして住民は闇雲に大都市へ出ていくのではなく、地元の住環境が充足されていれば住みつづけ地方は消滅しないはずである。社会保障機能や雇用などが確保されていれば、人々は基本的にその街を出ていくことにはならない。人口が減少し、住環境が低下していく過程で、行政と住民とが状況悪化改善に努力すれば地方消滅を防げるのではないかと思う。簡単に「地方消滅」などといってほしくないのである。地方消滅防止対策として、実態に応じて改革、改善、工夫などをすべきである。これらの諸対策によって若い女性の減少と人口流出をある程度防げることとなれば、地方消滅にはならないはずである。

中でも地元出身者の大都市流出防止対策は真剣に考えなければならない課題である。地方が折角育てた若者が学業終了とともに大都市へ就職してしまうことは余りにも残念であり、地元定着対策として「地方の雇用の場の確保」を是非考えるべきである。貧しい地方が育てた子供たちが裕福な東京の発展のために働くというシステムは是正してもらわなければならない。そしてこのことは別の問題も派生することとなる。現在の核家族化傾向を益々増長し、世代間の知識や技能の伝承が行われず、また親の高齢化に伴う介護問題のこともあり、このことの指摘は余り聞こえませんが大きな社会問題となっているのです。


■改めて地域興しを考えるべきではないか

 地方消滅は一つの警告として聞き、これから考えるべきは地域興しなどの対策であると思う。対策のひとつは地域興しであり、その二つ目は酷すぎる産業空洞化対策だと思う。わが国工場の海外流出は余りにも酷く工場が国内立地していれば、国内雇用増加となり、わが国GDP上昇に寄与し、税収増になるものが、外国の発展に貢献しているのである。そして対策の三つ目は、日本企業の経営者にも自前のことだけでなく、日本の将来について目を向ける度量を求めたいということです。

  以上書いてみましたが、子供作りに貢献できない我々、晩酌の味を不味くしてしまいますかね。




コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yabu.asablo.jp/blog/2015/03/17/7592674/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。