尖閣諸島 守ってもらえるの by 相原2011/01/18 14:34

      

                                H23.1.18

尖閣諸島 守ってもらえるの

                                                               相 原 孝 志


昨年9月の尖閣諸島事件で、我々国民は我が国の国防がとんでもない状態であることを知った。そして極めて貧弱で幼稚な日本外交の実態を見ることとなり、我々は政府に対し景気対策を言っているだけでは不十分であることを知ったのである。経済問題が重要であることは当然ながら、政府が果たすべき役割は経済だけだと考えてもらっては困る、国家としての基本的役割を認識してもらわなければならない。そういえば戦後の我が国は、国家の基本的使命を放擲し、国家として求めるべき将来像(国家ビジョン)の国民的合意もなく過ごしてきている。何とも情けない話だ。

中國はこのような我が国の情けない内情を十分知り、アメリカが領土問題には不干渉を決め込むことを見越して、自国の野望の実現に乗り出したと考えるべきだろう。従ってこの度の尖閣諸島事件は、一過性の偶発的事件ではなく起こるべくして起こったとみるべきだろう。しかも今回の決着で味を占めた中国は、更なる挑発を続けるのではないだろうか。ならば今、日本は何をなすべきなのか。そしてその時米軍は尖閣を守ってくれるのだろうか。それは日米安保条約の問題である。


日米安保条約 第五条とは

「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」


・日米安保条約 第五条の解釈

この五条が機能するのはまず「武力攻撃」があった場合である。また武力攻撃があったとしても、米国は「自国の憲法上の規定及び手続に従って対処する」となっており、議会の意向がどうなるか、また時間もかかるということとなる。

なお今回の中国漁船は、偽装工作船で船長は佐官級工作員だというのが巷の噂だが、民間船による場合は安保対象とはならないのだろう。

・現実にはどうなるのか

現実にはどうなるのか、軍事的に守ってくれるのかそれとも守ってくれないのか。結局米国は「尖閣を守ることはない」ということになりそうなのだ

何故なら、中国軍による尖閣攻撃が起きた場合まず自衛隊が対応する。初期の段階で米軍は参戦しない。自衛隊が勝てばそれでよいが、負けたらどうなるか。管轄権は中国に移り中国が実効支配する事態となる。その際には、米国は尖閣を中国領と認めることとなるので、日米安保条約は適用されないことになる。この過程の中で結局、自衛隊が勝っても負けても米軍は出動しないのである。米国のお手並みお見事。米国は領土を巡る他国の紛争には中立であり、実効支配を承認するというのだ。


上記を裏打ちする下記の米国側見解・発言

1996.9.15 モンデール駐日大使の発言。

「安保条約によって島を巡る紛争に、米軍が介入を義務付けられるものではない」と発言している。このため大使は解職された。このことに対する米政府発言はロイターによれば次の通り「尖閣諸島は日本の管轄下にあり、安全保障条約の対象である。しかし領有権については日中のいずれ側にもつかない」。

2004.3.24国務省表明は、「1972年の沖縄返還以来、尖閣諸島は日本の管轄権の下にある。1960年、安全保障条約第五条は、日本の管轄地に適用されると述べている。したがって、第五条は尖閣諸島に適用される。尖閣の主権は係争中である。米国は最終的な主権問題に立場をとらない」

2005.10に署名された日米同盟「未来のための変革と再編」では、「日本は島嶼部への侵略は自ら防衛する。島の防衛は日本の役割である。日米共同の役割任務ではない」となっている。


米国の基本的姿勢

米国は、日本の軍事的自立を恐れており特に核武装は認めないだろう。「日本に軍事的攻撃能力を持たせない」「日本を軍事的準禁治産者にしておく」というのは、米国の占領以来の一貫した基本姿勢なのだ。

これに対してわが国では、1992年の日本の防衛白書で、日本に対する軍事的脅威に直接対抗するよりも「日本周辺の不安定要因にならないように最小限の防衛をする」となっており、米国の対日基本姿勢に対応している。


神保町から古地図が消えている

神田神保町から尖閣諸島の古地図が消えている。大学の図書館の地図も破られている。沖縄県内で中国の活動が活発化しているのではないか。尖閣で明白な侵犯が起きているのに沖縄本島内では呑気に鈍感であってはならない。


(参考資料) 「尖閣戦争」 西尾幹二、青木直人 著


クリントン長官発言 モンデール発言を踏襲せず(2010.10.28 共同通信)

「尖閣諸島は日米安保条約第5条の範囲に入る。日本国民を守る義務を重視している」と発言。  ()「尖閣諸島が占領されても日米安保を適用する」との意味か。


コメント

_ 奔放な旅人 ― 2011/01/18 16:59

こんにちは。

結論から言いますと、尖閣諸島をアメリカは護りません。
安保条約に基づき、形の上で艦船等を派遣するでしょうが、交戦はしないでしょう。
中国側から発砲してこなければの話ですが。
日本政府は「領土問題は無い」とバカな事を言っています。
逆に言えば、「領土問題などありません、中国の固有領土です」と中国側に言わせるだけですから。
民主党政権が長く続けば、国賊仙谷が中国への貢ぎ物にするかも知れませんし。
尖閣諸島の次は八重山か沖縄本島でしょう。

駄文失礼しました。

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